蒼太の優しさは、彼の命が消えても続いている。
「ほら、もう行くぞ。明日、早起きして水やりするんだろ」
「……うん」
私の方へ手を差し出した陽介は、ハッとしたように星空を仰いだ。
こちらに伸ばしかけていたその手を、無造作に制服のポケットへしまう。
気づかないふりをした私も、彼につられて、夜空に浮かぶ星をさがした。
──繋がれない二つの手。
これから先も、陽介とは結ばれることはないだろう。
だけど、私たちの絆が消えることはない。
あの秘密を心に刻んだまま、歩いていく。
蒼太の好きだった星を、目に焼きつけながら。