また次の日、今日は土曜日、休日である。
帰宅部の僕にとっては何も予定が無い真っ白な休日だ。たぶん家で1日中ごろごろ寝て過ごす。既に朝起きてからもずっとベッドの上で大の字になっていた。
でも楽しみにしているというか考えていることが1つある。そう、もちろん黒いパソコンで何を検索するかだ――。
突然手に入れた魔法のアイテム、何でも検索できるパソコン。それをどうやって活用しようか。
かれこれ1時間ほど天井と相談している。何でも知ることができるなら知りたいことなんて山程あるけれど、1日1回という制限がある以上思いついたものを安易に検索することはできない。
突然現れたパソコンがいつ消えるかも分からないし……。慎重に選ばないと……。
でもまあ……最初はこれしかないだろ。僕はベッドから起きて収納に隠すようになった黒いパソコンを取り出す。
常に電源がついた状態で、それを切ることはできない奇妙なパソコン。今日も画面にはワードボックス1つだけ。そこへ決めた検索ワードを入力する。
「僕のことを異性として好きな人 一覧」
これしかないでしょう。僕が今一番知りたいこと。
きっと彼女のいない男子高校生なら誰もがどうにか手にしてみたいと思うであろう情報。恋愛のお話だ。検索の仕方は色々とパターンがあるがこれにした。
今一番気になる子がどうだとか、その恋が叶うかとかよりも欲求に従ってこの質問。男子高校生の僕にとってこれだけでこれからの生活の幸福度が全て決まってしまうというくらい究極の質問である。
入力したはいいものの、僕はその先へ進むのを恐れていた。もし……あの子の名前が無かったら、だけどもしあんな子の名前があったりなんてしたら……。
心を揺らしながら、意を決してEnterキーを押す。結果は……。グルグルが無くなるのが怖くて僕は目をつぶる。そして……。
「あなたのことを好きな女性は0人です」
目を開けた僕は……夢が覚めるのを待ったのだった。しっかりと目を開いた状態でこれが夢の中であることをただひたすら願ったのだ……。
うなだれにうなだれることになった休日。僕は比喩ではなく本当に心に穴が開いたんじゃないかというほど、自分の胸に心臓の所在を感じなかった。
やっぱりこのパソコンは嘘つきなんじゃないか。何度も疑問に思った。
気付けば夜……そしてまた日付が変わった……。
僕はその日の黒いパソコンでの検索を昨日と同じものにすることにした。対象者を変えて。
きっとアイドルや芸能人であれば何万人という結果が出る。その質問を今度は僕が通う学校の同級生で1番のイケメンで試してみることにした。
なんだかもう怖いもの見たさみたいな気持ちだった。自分とあいつでどれだけ差があるんだろう。
表示された結果は……54人。ちなみに僕の同級生女子は約100人なので、そういうことでそんなところだ。
一覧で検索したので学年一のイケメンが好きな女子達の氏名もフルネームで表示される。
同じクラスに在籍している女子の見たことがある苗字と名前から、知らない女子の名前まで。きっと後輩だとか先輩だとか。
きっと適当に書かれたのではない歩美や晴香という名前達を見て、より確かな黒いパソコンの信憑性も感じた。
これが現実。すげえんだなイケメンって……こんなに好意の向く先は偏っているのか……。
そこまでされると吹っ切れてやけくそになった僕はそっ閉じした黒いパソコンを収納の奥に閉まって、家中のお菓子とジュースをかき集めた。
帰宅部の僕にとっては何も予定が無い真っ白な休日だ。たぶん家で1日中ごろごろ寝て過ごす。既に朝起きてからもずっとベッドの上で大の字になっていた。
でも楽しみにしているというか考えていることが1つある。そう、もちろん黒いパソコンで何を検索するかだ――。
突然手に入れた魔法のアイテム、何でも検索できるパソコン。それをどうやって活用しようか。
かれこれ1時間ほど天井と相談している。何でも知ることができるなら知りたいことなんて山程あるけれど、1日1回という制限がある以上思いついたものを安易に検索することはできない。
突然現れたパソコンがいつ消えるかも分からないし……。慎重に選ばないと……。
でもまあ……最初はこれしかないだろ。僕はベッドから起きて収納に隠すようになった黒いパソコンを取り出す。
常に電源がついた状態で、それを切ることはできない奇妙なパソコン。今日も画面にはワードボックス1つだけ。そこへ決めた検索ワードを入力する。
「僕のことを異性として好きな人 一覧」
これしかないでしょう。僕が今一番知りたいこと。
きっと彼女のいない男子高校生なら誰もがどうにか手にしてみたいと思うであろう情報。恋愛のお話だ。検索の仕方は色々とパターンがあるがこれにした。
今一番気になる子がどうだとか、その恋が叶うかとかよりも欲求に従ってこの質問。男子高校生の僕にとってこれだけでこれからの生活の幸福度が全て決まってしまうというくらい究極の質問である。
入力したはいいものの、僕はその先へ進むのを恐れていた。もし……あの子の名前が無かったら、だけどもしあんな子の名前があったりなんてしたら……。
心を揺らしながら、意を決してEnterキーを押す。結果は……。グルグルが無くなるのが怖くて僕は目をつぶる。そして……。
「あなたのことを好きな女性は0人です」
目を開けた僕は……夢が覚めるのを待ったのだった。しっかりと目を開いた状態でこれが夢の中であることをただひたすら願ったのだ……。
うなだれにうなだれることになった休日。僕は比喩ではなく本当に心に穴が開いたんじゃないかというほど、自分の胸に心臓の所在を感じなかった。
やっぱりこのパソコンは嘘つきなんじゃないか。何度も疑問に思った。
気付けば夜……そしてまた日付が変わった……。
僕はその日の黒いパソコンでの検索を昨日と同じものにすることにした。対象者を変えて。
きっとアイドルや芸能人であれば何万人という結果が出る。その質問を今度は僕が通う学校の同級生で1番のイケメンで試してみることにした。
なんだかもう怖いもの見たさみたいな気持ちだった。自分とあいつでどれだけ差があるんだろう。
表示された結果は……54人。ちなみに僕の同級生女子は約100人なので、そういうことでそんなところだ。
一覧で検索したので学年一のイケメンが好きな女子達の氏名もフルネームで表示される。
同じクラスに在籍している女子の見たことがある苗字と名前から、知らない女子の名前まで。きっと後輩だとか先輩だとか。
きっと適当に書かれたのではない歩美や晴香という名前達を見て、より確かな黒いパソコンの信憑性も感じた。
これが現実。すげえんだなイケメンって……こんなに好意の向く先は偏っているのか……。
そこまでされると吹っ切れてやけくそになった僕はそっ閉じした黒いパソコンを収納の奥に閉まって、家中のお菓子とジュースをかき集めた。