*゜。*あたしと、リュウちゃんの
*.。゜ファーストコンタクトは
*。中学の職員室やった。*.。゜



「君はちゃーんと校則を読んで、
学校に来ているんか!いい加減
転校生や、ゆーてもこう毎日
呼びださなあかんのは、君は
前の学校でも 問題ある生徒
やったってことなんちゃうか」

目の前の男勝りな女性担任は、
すごい勢いで
チョウコに指導をしてくる。
生まれも育ちも横浜の
チョウコは、
この地域の
言葉で注意されただけでも
まるで取り調べに感じて
泣きそうになっていた。

「あ、あの、せんせ、わたし
生徒手帳に書いてる校則の
とおり服装、、して、きた」

『バァン!!!』

ひ、。

「今すぐ、生徒手帳出しなさい!
ここで、声を出して読む!」

目の前の机を出席簿で叩いて
威嚇をするから、
怖くて直ぐに内ポケットから
生徒手帳が出せない。

「どうして!内ポケットに
生徒手帳を入れるん!手帳は
胸ポケットに入れる!!」

そんな理不尽で書かれてもいない
ローカルルールを叫ばれ
無理やり内ポケットに
手を突っ込まれ、手帳を出された

この学校ってどうなってるの、、

チョウコが呆然となっていたら、
女性担任は手帳を
まるで見せるように開げ
ながら、チョウコの鼻に
手帳を押し付けようとした

のが、目の前で生徒手帳が
止まる。

「センセー、女っ子ーにそれぇ
アカンやろ。べっぴんが
台無しになるでー。なあ?」

みれば、女性担任の手首を
男子生徒が掴んでいた。

「リュウタロウ!放しなさい!
君は関係ないな!この不良が
今日も職員室か。こっちは、
指導中や、放しなさい!」

「やから、そない怒らんええやん
ほれ、センセーとこんクラス
委員、もう後ろに来てんでぇ」

リュウタロウと呼ばれた
男子生徒が入口を指差して、
パッと女性担任の手首を
放した。
確かに眼鏡をかけた生徒がいる。

気まずそうな顔をして
女性担任は、

「リュウタロウ。どうせ今日も
遅刻で呼ばれたんやろなあ。
授業始まる前に、テニスコート
走ってきなさい!追加でや、
先生! ええですねー?!」

リュウタロウと呼ばれた
男子生徒の後ろに座っていた
強面の体育教師が、

「もちろんですわ!リュウ、
わかってんな?すぐいけ。
朝学活終わる前に戻れよ。」

凄んで
リュウタロウに
言いきかせる
体育教師の様子は、
チョウコには その筋の人にしか
見えなくて、血の気が引いた。

「ういーっす。」

変な返事をして、
リュウタロウという生徒は
廊下に出ると、
待っていた友達?2人と
何処かに消えて行った。

「委員長!この転校生、教室に
連れて行って、風紀教えとき
なさい。3日してこれやから、
ちゃんと説明せなアカンわ」

チョウコに向かって入ってきた
眼鏡の生徒に
女性担任は指示をして、
しっしとチョウコを
追い出す手振りを見せる。

「失礼します。」

そんな教師を見慣れている様に
眼鏡の生徒は一礼して、
チョウコに一瞥くれたら、
ついてこいと言わんばかりに
先へと歩いて行く。

廊下に出て、
ようやく3日の間に覚えた
校舎の教室を頭に描いて
チョウコは、

外から聞こえた笑い声に思わず
視線を投げた。

そこには、
テニスコートを大笑いしながら
走る3人の男子生徒。
さっきのリュウタロウと
いうなれば、愉快な仲間2人。

「リュウタロウは、10組の不良
やから 関わらん方がええ。」

チョウコが外の3人を
見ているのを
前の眼鏡の学級委員は
気が付いたのだろう。

「10組、、」

どおりで1組に来たばかりの
自分が全く知らないわけだと
チョウコは又、リュウタロウを
見つめていた、、、


『ザザッ、ザザッ、』

昔にトリップしながらの
『山こぎ』。シュール!!


「はあー、あの頃のあたしは
まだ言葉も染まってへんで、
ピュアやったわー。懐かしい!
若さ、カンバーーーック!!」

チョウコは、
汗を流し渾身の雄叫びをあげる

「チョウコさん、、とぉとぉ、
現実逃避してはるわ、て、これ
ほんまに道、おうてはるん?」

少し離れてた後ろから聞こえる
キコの声。

「間違いありません。
分かりにくいですけど、ほら
あそこにも銀リボンあります」

前を上がるリンネを
チョウコが見ると、
キラキラしたリボンの目印が
確かにあるが、チョウコは再び
叫んだ。

「ないって!!何これ?古道って
ゆーより、山やん。獣道やん。
薮ん中やん。ありえん!!」

分岐の看板から少し進むと峠に
なり、その頃には石畳は
すでになくなって、
一列で通れる獣道になっていた。

「「「はあ、はあ、はあ、」」」

土の道を進んで、
気が付けば落ち葉が
敷き詰められた道に変化し、
そのうち両側の木が
迫って、
気が付けば山の中を
半分クライミングしながら
登る。

「あー、もう、若ない。あたし、
昔はもっとオシトヤカな浜の
お嬢ーやってんで、這いつく
ばって、獣道登るやなんてせん
くらいやったんや。体力限界」

とはいえ、1時間しか峠から
経っていない距離。

「それが、今は立派な和泉の女、
なんですやん、よきですなぁ
て、なんか、、後ろ、来てはり
る音する?わ、!!え?!」

ふいにキコが後ろを見て驚く。

「キコさん、どーしたん?て、
リンネさん!!後ろから
チャリ!チャリ来てる!!」

キコの声に、リンネとチョウコが
来た山道を振り替えると、

『ガサガサガサガサガサガサ、
『こんにちはっ!』

マウンテンバイクを担ぐ
角刈りマッチョマンが現れた。

「「「こ、こんにちは!!」」」

『お先ですっ!』

マウンテンバイクを担いで難なく
山を登る角刈りマッチョマンは
モリモリかつ、爽やかに
3人の横を山こぎすると、
見る間に姿を消した。

「いゃあ、なんや山賊やわ。」

「ですね。急にファンタジーな
世界に来た違和感ですよね。」

只只、惚けたように
キコとリンネが呟くのを尻目に
チョウコが両手を胸の前で
組ながら

「そんでも!!リュウちゃん
みたいな雰囲気やったわー!」

どこか嬉しそうに
角刈りマッチョマンの消失点を
見つめて言う。

「なんややっぱり山賊さんです
のん?漁師さんは陸に上がり
はると、山賊さんて、ウケる」

キコの白い視線が後ろから
チョウコを刺す。

「ちゃうって!あんな角刈り
しててん。ビシッとしててん」

「それ、リュウちゃんさんは、
『パチキ』入れてるんですか」

リンネもチョウコを白い目で
見ながらも意外な言葉を
かけた。

「『パチキ』は知らんけど、
お絵かき入れてたで。蝶々の」

キコが、リンネを目を見張って
見てからチョウコにも
驚いた顔を見せる。

「はい~、確定やわあ。素人や
ありませんわなあリュウさん」

話をしつつ
山こぎをしながら
角刈りマッチョマンが
消えたであろう場所まで
ようやく着くと、

「「「あ、」」」

3人の足が止まった。

「さっきの山賊が消えたん、
意味わかったわ。ここ、あれ
乗って降りたんやん。マジ?」

その先から、どうやら下り
らしいが。
崖紛いな急勾配の坂。

「えらいもう、垂直やない?
あれぇ、あの崖から馬乗って
降りるヤツ、あれやわあ。」

後ろから、
チョウコとキコが乗り出して
坂を覗くのにリンネは

「鵯越の逆落としですね。」

冷静に答えて、

「はって上がってこいやー!」

チョウコが叫び、

「それぇ、階段落ちぃ。」

キコが突っ込むと、

再びリンネが、答えた。

「降ります!」

「「体力ないー!!」」

チョウコとキコが同時に嘆く。

行き先の、木々の奥くに

角刈りマッチョマンの
ヘルメットがぐんぐん遠ざかって
見える。

坂をマウンテンバイクで降りる為
ヘルメットを被った頭は、
もう懐かしい角刈りが
隠されていて、

片手をかざして
その後頭部を名残惜しそうな
チョウコは眺める。


。*゜*・剃り込みが入った

角刈りに、短い上着と*・゜。

*・太ももが広いズボンの制服着て

・*。゜おちょけながらテニスコート 走るんは・*。

゜.あん時のあたしには.゜

*・とても同い年に見えへんかったんよな・*・゜。

パチキって何やろ?