「あっ、鴨ちゃん先生！」

　わたしの声に気づいた先生が立ち止まり、こっちを見てにっこり微笑む。

「水原さん、元気そうだね」
「うん、元気、元気！　最近遊びに行かなくてごめんねー」
「いえいえ、元気ならけっこうよ」

　ふふっと笑った先生と手を振って別れる。

「夏瑚ちゃん、鴨川ちゃん先生と仲いいよね？」
「うん、かわいいでしょ？　鴨ちゃん先生」
「ほんと、かわいい！」
「でも意外と毒舌だったりするんだよなー」
「え、マジで？」
「あの綺麗な声で毒舌って……聞いてみたい！」

　あははっと笑うわたしの声が、廊下に響く。
　へんなの。わたしはしゃいでる。学校で、クラスメイトと。

　となりにいる女の子たちが、ふと、美冬や響ちゃんの姿と重なる。
　いいのかな、わたし。こんなふうに笑ってて、いいのかな。