にぎやかな放課後の廊下を、友だちと一緒に歩いている。
 なにげないおしゃべり。担任の先生のうわさ話や、カッコいい先輩の話。
 ちょっとしたことがおかしくて、みんなで笑いあう。

 歩調を合わせ、同じ目的地に向かって進む。
 そんな毎日が、少しずつ、わたしのあたりまえになっていく。

「でね、真麻ってば、そのゲームにはまっちゃってねー。わたしがメッセージ送っても、ずっと無視してんの」
「いいじゃん、家でのわたしのお楽しみなんだからさー。邪魔しないでよ」
「ひどっ、邪魔とか」
「そういえばさ、夏瑚は家にいるとき、なにやってんの?」

 急にふられて、わたしはちょっと考えた。それからハッと思い出し、にかっと笑ってみんなに言う。

「わたしは園芸かな?」
「は? 園芸?」
「そう。種から花、育ててんの。もうすぐ咲きそうなんだけどさぁ、自分の子どもみたいでかわいいよ?」
「なんか夏瑚らしくない」
「てか、地味すぎ」

 わたしはみんなと一緒にあははっと笑った。