「ああ、おまえよく、うちに居座ってたもんな」
「は? わたしはあんたがひとりで……」

 言いかけてやめた。べつにもう、どうでもいいや。

 ふたりでスポーツドリンクを飲む。部屋のなかは静かだった。
 おじさんはまだ、帰ってきそうもない。

「ゲームでもやる?」

 沈黙を破るように、碧人が言った。

「うん。やる」

 狭いソファーに並んで座って、碧人と一緒にテレビゲームをする。瑛介くんや一成も遊びに来て、四人で対決したことを思い出す。

「うわっ、やられたっ!」
「夏瑚、腕落ちたなぁ」
「うるさい。うちにゲームないんだからしょうがないじゃん」

 コントローラーを動かす肘が、碧人の肘に当たった。碧人は真剣な顔つきで、コントローラーを動かしている。
 そんな碧人の横顔を見て、なぜだか胸が痛くなった。

『碧人くんに……好きだって』

 美冬……

『行かないで……夏瑚』

 わたしはぎゅっと目をつむる。

 テレビから派手な音が流れて、『GAME OVER』と声が聞こえた。
 目を開くと、わたしのキャラクターが倒れている。

「夏瑚?」

 碧人がわたしを見る。わたしはへらっと笑ってコントローラーを置いた。