「……っ」

 こらえようと思ったのに、こらえられない。
 涙と、胸の奥からの叫び声。

「うっ……わあああああっ」

 全身を震わせて叫んだわたしの背中を、碧人が抱え込んだ。

「わあああああんっ……いやだ! いなくなっちゃいやだ! みんないなくならないでよぉ!」

 一度吐きだしてしまったら、心も体もぐちゃぐちゃに壊れていくような気がして、それが怖くてうずくまる。
 そんなわたしの体を、碧人が背中から抱きしめてくれている。

「わああんっ、やだ、やだ! こんなのやだぁ!」

 まるで小さな子どもが、駄々をこねるように泣き叫ぶ。

「ねぇ、どこにいるの? みんなどこにいるの?」

 美冬、響ちゃん、瑛介くん、一成……マキ先生……

「会いたい……会いたいよぉ……みんなに……」

 泣きじゃくるわたしの耳に、碧人のかすれる声が聞こえた。

「おれも……会いたいよ」

 わたしたちの願いは、いつだって同じだった。
 みんなに会いたい。一緒に笑いあいたい。真夏のグラウンドを走り抜けたい。

 だけどそれが叶わない願いだって、わたしも碧人も、とっくにわかっていた。