西高校のそばのバス停で待っていると、すぐに路線バスがやってきた。
わたしの家とは反対方向の、隣町に向かうバスだ。
碧人と一緒にそれに乗りこむ。車内はすいていて、わたしたちは空いている席に並んで座った。
バスが走りだすと同時に、わたしは持っていたスマホを、お守りのように握りしめる。
バスに乗るのは、すごく久しぶりだった。
「なに考えてんだよ」
となりの碧人が、ふてくされた声でつぶやく。
「碧人だって、いつもわたしを振りまわしているくせに。今日はわたしにつきあってよ」
碧人がため息をつきながら聞いてくる。
「どこ行くかだけ、教えろよ」
わたしは窓の外を見て、すうっと息を吸いこむ。そして一文字ずつ慎重に、その言葉を吐きだした。
「陸上競技場」
「は?」
碧人がわたしの顔をのぞきこんでくる。
「競技場って、どこの?」
「去年の夏、わたしたちが行こうとしてたとこ」
一瞬息をのんだ碧人が、顔をしかめてつぶやく。
わたしの家とは反対方向の、隣町に向かうバスだ。
碧人と一緒にそれに乗りこむ。車内はすいていて、わたしたちは空いている席に並んで座った。
バスが走りだすと同時に、わたしは持っていたスマホを、お守りのように握りしめる。
バスに乗るのは、すごく久しぶりだった。
「なに考えてんだよ」
となりの碧人が、ふてくされた声でつぶやく。
「碧人だって、いつもわたしを振りまわしているくせに。今日はわたしにつきあってよ」
碧人がため息をつきながら聞いてくる。
「どこ行くかだけ、教えろよ」
わたしは窓の外を見て、すうっと息を吸いこむ。そして一文字ずつ慎重に、その言葉を吐きだした。
「陸上競技場」
「は?」
碧人がわたしの顔をのぞきこんでくる。
「競技場って、どこの?」
「去年の夏、わたしたちが行こうとしてたとこ」
一瞬息をのんだ碧人が、顔をしかめてつぶやく。