「……すみません。連絡もしないで」
「いいのよ、いいの、いいの。碧人くんが元気なら」
お母さんはそう言いながら、目元をぬぐった。
「夏瑚、碧人くんと一緒だったのね?」
「ええと……公園でバスケしてて……碧人が送ってくれた」
「そう。ありがとうね、碧人くん」
碧人は黙って首を横に振る。わたしはそんな碧人を見つめた。
「じゃあ、おれはこれで……」
「あら、せっかくだから寄っていけばいいのに」
「いえ、もう遅いんで」
うつむいたまま背中を向けた碧人に、お母さんが声をかける。
「がんばってね、碧人くん。みんなの分まで」
一瞬足を止めた碧人が、小さくうなずき、すっかり暗くなった道を歩いていく。
うつむいたままの碧人は、押しつけられた重たい荷物を、たくさん背負っているように見えた。
「よかったわね、夏瑚。碧人くんに会えて」
お母さんがわたしに言う。
なにが「よかった」んだろう。ぜんぜんわかんない。
「なにも……よくないよ」
お母さんが不思議そうにわたしを見る。
「碧人はわたしの面倒をみに、来てくれたんじゃないよ」
お母さんが黙った。わたしは鴨ちゃん先生に言われた言葉を思い出す。
『あんまり重すぎるものを抱えて歩くと、疲れちゃうからね』
碧人は大丈夫なのかな。疲れているんじゃないのかな。
「いいのよ、いいの、いいの。碧人くんが元気なら」
お母さんはそう言いながら、目元をぬぐった。
「夏瑚、碧人くんと一緒だったのね?」
「ええと……公園でバスケしてて……碧人が送ってくれた」
「そう。ありがとうね、碧人くん」
碧人は黙って首を横に振る。わたしはそんな碧人を見つめた。
「じゃあ、おれはこれで……」
「あら、せっかくだから寄っていけばいいのに」
「いえ、もう遅いんで」
うつむいたまま背中を向けた碧人に、お母さんが声をかける。
「がんばってね、碧人くん。みんなの分まで」
一瞬足を止めた碧人が、小さくうなずき、すっかり暗くなった道を歩いていく。
うつむいたままの碧人は、押しつけられた重たい荷物を、たくさん背負っているように見えた。
「よかったわね、夏瑚。碧人くんに会えて」
お母さんがわたしに言う。
なにが「よかった」んだろう。ぜんぜんわかんない。
「なにも……よくないよ」
お母さんが不思議そうにわたしを見る。
「碧人はわたしの面倒をみに、来てくれたんじゃないよ」
お母さんが黙った。わたしは鴨ちゃん先生に言われた言葉を思い出す。
『あんまり重すぎるものを抱えて歩くと、疲れちゃうからね』
碧人は大丈夫なのかな。疲れているんじゃないのかな。