バス通りにあるホームセンターで、碧人はゴムのボールを買うと、中学校のほうへ向かって歩いた。
 去年まで碧人と一緒によく歩いた通学路だ。

「もう……なに考えてるのよ」

 碧人の後ろを歩きながら不満を漏らす。碧人は学校の横の坂道をのぼっていく。

 この道は……あの公園に続く道。

 坂道のてっぺんにつくと、碧人は小さな公園に入っていった。そして遊具の間を通り抜け、奥の芝生広場に向かう。

 数日前、ここでわたしは碧人と再会した。わたしの胸が、なんだか熱くなる。

 広場は今日も人けがなく、ぽつんとあるバスケットゴールの向こうに、見慣れた街の景色が広がっていた。

「夏瑚。そこで数えてて」
「え?」

 碧人がブレザーを脱いでネクタイをはずし、シャツを腕まくりした。
 そしてさっき買ったばかりのボールを弾ませながら、バスケットゴールのそばへ行く。

 あ……これは……