まだ授業中の、静まり返った校舎を出たら、眩しい日差しが頭の上から降り注いできた。

 わたしはちょっと顔をしかめて、空を仰ぐ。
 めまいがするほどの青い空に、真っ白な雲が浮かんでいる。
 こんな空を見ると、やっぱりみんなを思い出してしまう。

 昇降口の前に立ち、スマホのトーク画面を開く。

【今日は早退しまーす】

 じっと自分の文字を見つめてから、続きを打つ。

【久しぶりに体育出たら、ぶっ倒れちゃったんだぁ。ぜんぜん体力ないしー。ダメだね、みんなみたいに部活やってないと】

 『えへへ』って苦笑いしている猫のスタンプ。
 それから少し考えて、また続ける。

【うちの学校の体育教師、めっちゃ熱血でゴリラみたいなの。全身筋肉ってかんじー。マキ先生とは大違いだよぉ】

 泣いている猫のイラストを見て、ちょっと笑う。

 音楽室から、どこかのクラスの歌声が流れてきた。
 わたしはゆっくりと足を踏みだす。

 返事はこない。だってみんな授業中だもん。

 ポケットにスマホを押し込んだ。なんとなく家には帰りたくなかった。