保健室を出て、廊下を歩きながら考える。

 わたしや生徒たちの悩みを聞いてくれる、鴨ちゃん先生。

 でも先生は、誰かに苦しい想いを吐きだすことはできるのかな。
 先生だって人間だもん。つらいことも、悲しいこともあるよね?

 校舎のなかにチャイムが響く。
 わたしは教室を目指して、足を速める。

 いつかわたしが、鴨ちゃん先生の話を聞いてあげられるようになれたらいいな。
 そして先生の抱えている重たい荷物を、半分……いや、三分の一でも、わたしが持ってあげたい。
 それで先生が、心の底から笑ってくれたら嬉しいな。

 その日わたしは、篠宮さんにメッセージを送り、夕方会う約束をした。