「大丈夫か?」

 碧人がしゃがみこみ、わたしの足を見た。

「だ、だいじょうぶ……だけどちょっとひねっちゃったみたい」

 顔を上げてへらっと笑ってみたけど、碧人は心配そうに眉をひそめていた。

「病院行こうか? それともスーパーの横の接骨院?」
「いやいやいや! ほんとに大丈夫だからっ」
「夏瑚の大丈夫は信用できない」
「なにそれ」

 あははっと笑って立ち上がろうとしたけど、また足が痛んでよろけてしまう。
 そんなわたしの体を、碧人が支えてくれた。

「あの、さ……」
「え?」
「おんぶしてやろうか?」

 おんぶ? わたしはあわてて首を横に振る。

「だ、大丈夫だって! 家すぐそこだし! ちょっと手を貸してもらえればっ!」

 わたしは碧人につかまりながら、ゆっくりと足を動かす。
 捻挫したかもしれない。なにもないところで転んで怪我するなんて、バカみたい。

 碧人はわたしの体を支えて、となりを歩いてくれる。