コンビニでアイスを買って、駐輪場の端っこに座って食べた。
 建物の陰で日陰になっているとはいえ、ここも暑い。水色のアイスが、あっという間に溶けはじめる。

 碧人はわたしのとなりで、なにも話そうとはしなかった。
 今度の大会のことも、さっきわたしにしたことも、篠宮さんのことも。

 碧人がアイスをかじる音が聞こえる。それだけでわたしの胸がドキドキする。
 なんなの、これ。心臓の動きがへん。碧人が突然、あんなことするから。

 わたしはちらっと碧人の横顔を見る。日に焼けた肌に、うっすらと汗がにじんでいる。

 碧人とはいままでだって、手をつないだり、背中をさすってもらったりした。
 小さいころは、いつもくっついてゲームをやったし、ふざけて取っ組み合いだってしたし……なのにさっき、碧人に抱きしめられてから、わたしの体はどこかおかしい。

 心臓はずっとドキドキしっぱなしだし、熱が出たみたいに額も頬も熱いんだ。

「そろそろ帰るか。送るよ」

 碧人が立ち上がった。

「う、うん」

 わたしも立って、歩きはじめた碧人のあとを追いかけ……ようと思った瞬間、コンクリートの上にびたんっと倒れてしまった。

「か、夏瑚?」

 碧人があわてて駆け寄ってくる。
 なにやってんだ、わたし。平坦なところで転ぶってアホ?

「あ、はは、ごめん、コケちゃった。カッコわる……」

 とっさに手で触れた足が、ズキッと痛んだ。

「……っ」

 思わず歯を食いしばり、顔をしかめる。