ポケットのなかで、スマホが振動した。わたしは過去の思い出を振り払い、画面を見る。
 そこには碧人からのメッセージが届いていた。

【いま、どこにいる?】

 久しぶりにきた碧人のメッセージは、あきれるほどそっけなかった。
 わたしはちょっと戸惑ったあと、やっぱりそっけなく返事する。

【学校。補習が終わったとこ】
【中学校のそばの公園まで来れる?】
【行けるよ】
【じゃあそこで待ってて。いま部活終わったから、すぐに行く】

 わたしは『OK!』の猫スタンプを送って、スマホをポケットに入れた。
 そして真夏の空の下を、ゆっくりと歩きだす。

 碧人に会うのは、あの競技場に行った日以来だった。