「このかわいいひまわり、先生が買ったんじゃないでしょ?」
黄色い花びらを指先でちょんっと揺らしてから、わたしがたずねた。
するとマキ先生はいたずらっぽい顔をわたしに近づけ、耳元でこっそりささやいたんだ。
『実はこれ、彼女からのプレゼントなんだ。毎日これ見て、わたしのこと思い出してねってさ』
わたしの耳が熱くなった。先生はわたしから離れると、長い指を口元に一本立てた。
『誰にも言うなよ。ナイショだからな』
先生が目の前でにこっと笑う。わたしは両手で口元を覆ったあと、ふふっと肩を震わせて言った。
「いいこと聞いちゃった。さっそくみんなに話しちゃお!」
『おいっ、ナイショだって言ってるだろ。マジで誰にも言うなよ』
「そんなの無理だよー! ごちそうさま!」
先生に背中を向けて、職員室を飛びだした。後ろから『おーい、水原ー!』なんてマキ先生が呼んでいたけど無視した。
そしてわたしは誰もいない校舎の隅で、ちょっとだけ泣いたんだ。
誰にも話したことがない、恋とも呼べないような淡い想いは、中二の夏にあっさり終わってしまった。
黄色い花びらを指先でちょんっと揺らしてから、わたしがたずねた。
するとマキ先生はいたずらっぽい顔をわたしに近づけ、耳元でこっそりささやいたんだ。
『実はこれ、彼女からのプレゼントなんだ。毎日これ見て、わたしのこと思い出してねってさ』
わたしの耳が熱くなった。先生はわたしから離れると、長い指を口元に一本立てた。
『誰にも言うなよ。ナイショだからな』
先生が目の前でにこっと笑う。わたしは両手で口元を覆ったあと、ふふっと肩を震わせて言った。
「いいこと聞いちゃった。さっそくみんなに話しちゃお!」
『おいっ、ナイショだって言ってるだろ。マジで誰にも言うなよ』
「そんなの無理だよー! ごちそうさま!」
先生に背中を向けて、職員室を飛びだした。後ろから『おーい、水原ー!』なんてマキ先生が呼んでいたけど無視した。
そしてわたしは誰もいない校舎の隅で、ちょっとだけ泣いたんだ。
誰にも話したことがない、恋とも呼べないような淡い想いは、中二の夏にあっさり終わってしまった。