さっきよりも厚くなった雲の下、碧人と並んでソーダ味のアイスを食べた。
 じめじめと蒸し暑い空気がまとわりつくなか、冷たいアイスをシャクっとかじると、全身がひんやりと冷えて気持ちいい。

 そしてわたしはやっぱり、一成の自慢気な顔を思い出し、それからみんなの笑顔を思い出すんだ。

 だけどきっと、となりの碧人もそうなんだろう。
 わたしたちはこのアイスを食べるたび、いつまでもみんなのことを思い出す。

 それは悲しくて、つらくて寂しくて、忘れてしまいたくもなるけれど、やっぱり忘れることなんてできない。
 だったらその悲しみも寂しさもぜんぶ抱えて、わたしたちは生きていくしかないんだ。

 アイスを食べ終えたわたしたちは、駅から電車に乗った。
 部活帰りの碧人はあんまりお金を持っていなかったから、切符代を貸してあげた。

 途中で電車を乗り換えて、わたしたちはさらに遠くへ行く。
 電車の窓から見える知らない景色に、やがて雨の色が混じりはじめる。