体当たりのような勢いで地面にぶつかる。肩から背中に走る鈍痛。転がり続けるわたしの肉体。受け身を取って頭を守りながら、衝撃を吸収するのに必死だった。
 向かい側のドアに叩きつけられるようにして、止まった。
 ホームドアが完全に閉まっていた。
 一瞬、静寂がよぎった。
『列車』が動く。
 ズズズズ……と、地鳴りのようなおどろおどろしい音を立てて。
 あっという間に時速を上げて、車体が走り出した。速い。乗客がほかにいるのかどうかもわからない。時間だけが動いていた。
 喉の奥から熱いかたまりが唸り声を上げて昇ってきた。
 溶岩が噴出するかのように、目の前が真っ赤になる。
 獣のような咆哮が腹の底から沸き上がり、わたしは吠えた。
 自分のことも、地球のことも、何も考えなかった。おばあちゃんのことも。
 わたしは逃げた。
 助かった。
 助かったんだ。
 怒りなのか喜びなのかわからない激情が襲ってきた。