まだ明るさが残る空は清々しいくらい綺麗なのに、淡く頬を染めた僕はそっと目を伏せた。
片付け作業は、夢が終わり現実を迎える朝のような気分だ。華やかなステージや店は骨組みだけになり、美しく装飾されていた物たちは根こそぎ取られていく。輝かしい時間とは、とても儚いものだ。
──話したいことがあるの。またここで、待ち合わせない?
どんな話だろう。これが綺原さんの言う、逢引きとやらに該当されるんだろうか。
鼓動が速くなって、小さな期待が膨らんでいく。
校舎や校庭が見慣れた日常風景に戻りつつある頃、機材や部品の最終チェックをしている僕のところへ苗木がやって来た。
「なあ、直江。綺原見なかったか?」
探し回っていたのか、息が少し荒く焦った様子に見える。だから、てっきり告白でもしようとしているのかと思った。
「ここへは来てないけど、綺原さんの担当場所は?」
「それが、どこにもいないんだ。一緒に直江のピアノを見てたはずなんだけど、気付いたら姿が消えてて。そっからクラスの持ち場聞いて回ってるけど、片付けも出てねぇみたいなんだ」
幼稚園児じゃあるまいし、彼女が驚かそうと隠れんぼするようには思えない。何かあったんだろうか。
「どっかで倒れてねぇかとか心配でさ」
「もう終わるから、僕も探すよ」
あと残っている片付けの確認を副会長にお願いして、僕らは手分けして綺原さんを探した。
校舎内も手当たり次第走り回ってはみるけど、姿は見つからない。どこへ消えてしまったんだ。
片付け作業は、夢が終わり現実を迎える朝のような気分だ。華やかなステージや店は骨組みだけになり、美しく装飾されていた物たちは根こそぎ取られていく。輝かしい時間とは、とても儚いものだ。
──話したいことがあるの。またここで、待ち合わせない?
どんな話だろう。これが綺原さんの言う、逢引きとやらに該当されるんだろうか。
鼓動が速くなって、小さな期待が膨らんでいく。
校舎や校庭が見慣れた日常風景に戻りつつある頃、機材や部品の最終チェックをしている僕のところへ苗木がやって来た。
「なあ、直江。綺原見なかったか?」
探し回っていたのか、息が少し荒く焦った様子に見える。だから、てっきり告白でもしようとしているのかと思った。
「ここへは来てないけど、綺原さんの担当場所は?」
「それが、どこにもいないんだ。一緒に直江のピアノを見てたはずなんだけど、気付いたら姿が消えてて。そっからクラスの持ち場聞いて回ってるけど、片付けも出てねぇみたいなんだ」
幼稚園児じゃあるまいし、彼女が驚かそうと隠れんぼするようには思えない。何かあったんだろうか。
「どっかで倒れてねぇかとか心配でさ」
「もう終わるから、僕も探すよ」
あと残っている片付けの確認を副会長にお願いして、僕らは手分けして綺原さんを探した。
校舎内も手当たり次第走り回ってはみるけど、姿は見つからない。どこへ消えてしまったんだ。



