ゆらゆら、ふわふわ。しばらくして、体中が冷んやりした空気に包まれるような心地よさで目を覚ました。どうやら知らないうちに眠っていたらしい。
体が浮くように軽くて、子猫ほどの体重もないような感覚。
見渡す限りに広がる青い空は、ずっと幻想を抱いていた世界に似ている気がした。
ここは見慣れた学校の屋上であるはずなのに、目の前にある景色はあちら側の世界にいるように美しい。青に滲むピンクや黄色、紫の絵の具は、空の涙になったように水を含んで地上へと降り注いでいる。
これは、夢の中での出来事なのだろうか。
「こんな雨が降るなんて、すごく綺麗だね」
驚いて隣を向く。自分だけが佇んでいると思っていたのに、突然人が現れたからだ。
──この子は、誰だ?
茶色く柔らかな肩丈の髪をした女の子。同じ結芽岬高校の制服を着ているから、おそらくここの生徒なのだろう。
その子は僕が座るフェンスに足を掛けると、綱渡りをするかのように、幅の狭い鉄格子の上に立つ。
「えっ、ちょっと、危ない……」
言いかけた言葉は小さく空へ消えて行く。
夢なのだから、まあいいか。そんな気持ちが胸の中に沸いたからだ。
「これって、夢なのかな?」
「えっ?」
「君の夢、それとも、私の夢どっちかな?」
「さあ、どっちもなんじゃない」
「ふふっ、それって一緒に同じ夢を見てるってこと? すごく素敵な回答だね」
次の拍子に、彼女の体がくらっと揺れた。
あっ、落ちる!
現実でないと頭では思いながら、衝動的に伸ばした手。だけど、次の瞬間には僕の手を引っ張る女の子の姿が、空を背景にして飛び込んで来た。
フェンス越しに必死に引き上げようとする彼女と、今にも落下しそうな僕。
いつの間に状況が反転してしまったのか。
理解するよりも先に、汗ばんだ指先が滑るように離れた。
体が浮くように軽くて、子猫ほどの体重もないような感覚。
見渡す限りに広がる青い空は、ずっと幻想を抱いていた世界に似ている気がした。
ここは見慣れた学校の屋上であるはずなのに、目の前にある景色はあちら側の世界にいるように美しい。青に滲むピンクや黄色、紫の絵の具は、空の涙になったように水を含んで地上へと降り注いでいる。
これは、夢の中での出来事なのだろうか。
「こんな雨が降るなんて、すごく綺麗だね」
驚いて隣を向く。自分だけが佇んでいると思っていたのに、突然人が現れたからだ。
──この子は、誰だ?
茶色く柔らかな肩丈の髪をした女の子。同じ結芽岬高校の制服を着ているから、おそらくここの生徒なのだろう。
その子は僕が座るフェンスに足を掛けると、綱渡りをするかのように、幅の狭い鉄格子の上に立つ。
「えっ、ちょっと、危ない……」
言いかけた言葉は小さく空へ消えて行く。
夢なのだから、まあいいか。そんな気持ちが胸の中に沸いたからだ。
「これって、夢なのかな?」
「えっ?」
「君の夢、それとも、私の夢どっちかな?」
「さあ、どっちもなんじゃない」
「ふふっ、それって一緒に同じ夢を見てるってこと? すごく素敵な回答だね」
次の拍子に、彼女の体がくらっと揺れた。
あっ、落ちる!
現実でないと頭では思いながら、衝動的に伸ばした手。だけど、次の瞬間には僕の手を引っ張る女の子の姿が、空を背景にして飛び込んで来た。
フェンス越しに必死に引き上げようとする彼女と、今にも落下しそうな僕。
いつの間に状況が反転してしまったのか。
理解するよりも先に、汗ばんだ指先が滑るように離れた。



