「良いアイデアだと思うけど、どうなんだ? 生徒会長」
右から鼓膜を突き破るような嫌悪を抱く声がした。脚を組み椅子に座る皆川が、僕に話しかけている。蓬に触れていた手で頬杖を付きながら、いかにも紳士そうな顔をして。
拳を握る手が小刻みに震える。
落ち着け、落ち着くんだ。
「生徒会に……持ち帰ります」
心を殺して平静に答えた言葉は、首を締められたような声をしていた。
空いていた席に着いてからも、しばらくは力の入った手のひらが開くことはなかった。
昼休みを迎えた。これまでにない長さの時間を夢の中で過ごしている。
ここには僕の席、名前の入った教科書、誰が作ったのか不明な弁当まである。どんな行動を取ったとしても、周りは気にすることなく当たり前の日常として流れていく。
夢とは不自然なことが当然のように起こる幻覚だと認識していたけど、僕の脳はきっと正常だ。初めからずっと違和感を抱いているのだから。
見たことのない弁当袋を手に下げて、廊下を歩く。同じ校舎でも、やはり随分と違う。変わらないのは、掲示板に貼り出されている校内新聞とゆめみ祭の告知ポスターくらいだろう。
定まっていなかった視線が止まった。新聞やポスターに、七年前の日付が記載されている。どれも同じ年号。
体育館階段の壁画にあった年と一致していた。
「まさか、ほんとに実在する過去を見ているのか?」
綺原さんが未来を見ているのなら、僕が過去を見ていてもおかしくはない。
でも、この夢に存在しているのは今の僕だ。何の意味があって、僕は七年も前の過去にいるんだ?
右から鼓膜を突き破るような嫌悪を抱く声がした。脚を組み椅子に座る皆川が、僕に話しかけている。蓬に触れていた手で頬杖を付きながら、いかにも紳士そうな顔をして。
拳を握る手が小刻みに震える。
落ち着け、落ち着くんだ。
「生徒会に……持ち帰ります」
心を殺して平静に答えた言葉は、首を締められたような声をしていた。
空いていた席に着いてからも、しばらくは力の入った手のひらが開くことはなかった。
昼休みを迎えた。これまでにない長さの時間を夢の中で過ごしている。
ここには僕の席、名前の入った教科書、誰が作ったのか不明な弁当まである。どんな行動を取ったとしても、周りは気にすることなく当たり前の日常として流れていく。
夢とは不自然なことが当然のように起こる幻覚だと認識していたけど、僕の脳はきっと正常だ。初めからずっと違和感を抱いているのだから。
見たことのない弁当袋を手に下げて、廊下を歩く。同じ校舎でも、やはり随分と違う。変わらないのは、掲示板に貼り出されている校内新聞とゆめみ祭の告知ポスターくらいだろう。
定まっていなかった視線が止まった。新聞やポスターに、七年前の日付が記載されている。どれも同じ年号。
体育館階段の壁画にあった年と一致していた。
「まさか、ほんとに実在する過去を見ているのか?」
綺原さんが未来を見ているのなら、僕が過去を見ていてもおかしくはない。
でも、この夢に存在しているのは今の僕だ。何の意味があって、僕は七年も前の過去にいるんだ?



