消えたい僕は、今日も彼女と夢をみる

 あっという間に空が闇に包まれて、ひびのような線が入っている。まるでチョコレートドームの中に閉じ込められているみたいで、バリバリと景色が割れていく。
 これが夢の世界の終わりなのかと、ただ放心と眺めるしかなかった。

 そんなとき、目の前に彼が現れた。手足をぶらんとさせた格好は、正気を感じられない。
 梵くんは、覚えてくれているのかしら。
 不安げに声をかけると、何も言わないで突然抱きしめられた。

「もう会えないかと思った」

 耳元で優しく広がる声に、胸の音が鳴り止まない。
 こんな最後の日が訪れるなんて、夢にも思わなかった。

「思い出したんだ。君と初めて会ったときのこと」

 ザザッ、ザザッと途切れ途切れの音がして、私の体が映像のように乱れている。
 もうここにはいられない。もう二度と会えない。そう思ったら、こらえていた涙があふれてきた。

「梵くん、ありがとう。後悔しない今を、生きて」

 掴まれた手が温もりを感じることはなく、そのまま暗闇の中へ落ちた。