数秒、じっと私を見て、金宮健は立ち上がる。ベッドに立てかけてあった『シンクロニシティ』の本を持ち出して、こちらへ渡した。
「これは君の夢でもあり、今は俺の夢でもある」
「……どうして」
「二十五の君が見てる夢に侵入したんだ。君のお祖父さんに頼まれてね」
向こうの私は、普通に食事を摂り、仕事をして毎日を過ごしているらしい。
以前、意識を持ちながら夢を見ていた梵くんと同じ。でも、それは抜け殻となっていて、目に光が宿っていない。
意識が別の場所にあると気付いたお祖父様が、この人を使って目覚めさせようとしていると知った。
「他人の夢に入り込むのは、意外と単純で簡単なんだ。だけど、条件が揃わなきゃ一生無理かもしれない」
「……そんなこと」
「まあ、俺は雇われてる身だから、ちゃんと任務は全うするつもりだけど。無理矢理するのは、俺の趣味じゃないんでね。ちゃんと自分で頃合い見つけてくんないと。あっち、廃人になっちゃうかもよ」
なにもなかったかのようにヘラッと笑って、じゃあそろそろこのへんでと金宮健は去って行った。
「これは君の夢でもあり、今は俺の夢でもある」
「……どうして」
「二十五の君が見てる夢に侵入したんだ。君のお祖父さんに頼まれてね」
向こうの私は、普通に食事を摂り、仕事をして毎日を過ごしているらしい。
以前、意識を持ちながら夢を見ていた梵くんと同じ。でも、それは抜け殻となっていて、目に光が宿っていない。
意識が別の場所にあると気付いたお祖父様が、この人を使って目覚めさせようとしていると知った。
「他人の夢に入り込むのは、意外と単純で簡単なんだ。だけど、条件が揃わなきゃ一生無理かもしれない」
「……そんなこと」
「まあ、俺は雇われてる身だから、ちゃんと任務は全うするつもりだけど。無理矢理するのは、俺の趣味じゃないんでね。ちゃんと自分で頃合い見つけてくんないと。あっち、廃人になっちゃうかもよ」
なにもなかったかのようにヘラッと笑って、じゃあそろそろこのへんでと金宮健は去って行った。



