「そういえば瑞花から聞いたけど、緋莉は助けてもらったお礼をどうするか悩んでたんだよな?」
――はっ? いきなりなに言いだすの、皆渡くん。
「もしかして、その花束にしたのか? すげえな」
「ち、ちがっ! このバラはルカさんが買ったの! ていうか、このタイミングでそんなこと言わないでよ!」
意表を突かれて真顔で反論を試みるが、皆渡くんのとぼけた質問は止まらない。
「でも、悩んでたんだろ?」
「そ、それは、そうだけど!」
その気持ちを本人に知られちゃうなんて、なんか恥ずかしいじゃない。
「なら、今聞けばいいんじゃねえの?」
あっけらかんと喋り続ける皆渡くんの口を塞ぐにはどうするべきか考えたけれど、瑞花が「ちょっと黙ってて!」と叱ってくれた。