でももし、万が一でもわたしに彼氏が出来たら、お父さんはどう思ってくれたんだろう。
わたしはお父さんの顔を知らない。
わたしが生まれる前に遠い異国で亡くなったと聞かされていて、家には写真一枚残っていなかった。
名前は晄というらしい。
日と光をくっつけて晄。
きっと太陽が似合う眩しい人だったに違いない。そうわたしは思っている。
ちなみにわたしの『あかり』という名前の響きは、父の名が由来だそうだ。
お父さんが生きていて娘に彼氏ができたなんて聞いたら、心配して根掘り葉掘り訊いてくるのだろうか。
普通なら干渉されて煩わしいのだろうけれど、父親を知らないわたしは、それを想像するとなんとなく頬が緩む。