「ふたりに紹介するね! この人がクリスマス会の夜にわたしを助けてくれたルカさんだよ」
不穏な空気を払拭するように、妙に明るい声を出しながら慌ててふたりの間に割って入った。ちょっとわざとらしいけれど、今は気にしていられない。
「……ん? 助けてくれた人?」
わたしの説明を聞いた皆渡くんは、急に毒気を抜かれたように目を丸くすると、すぐにあははっと笑った。
「あぁ、そうだったのか。わりい!」
「わりいじゃないでしょ。ちゃんと謝んなさいよ!」
瑞花が皆渡くんの頭をぐいっと押さえつける。
「いてっ! いや、ちゃんと反省してるって! ごめんなさい、ごめんなさい!」
ふたりのやりとりを見て、ルカさんがふっと笑みをこぼした。それを見て、わたしもほっと胸を撫でおろす。
「あんたが緋莉を助けてくれたのか。どうもありがとな。てっきりこいつ、また絡まれてるのかと思ってさ」
切り替えが早くてさっぱりしてるところは皆渡くんのいいところだと思う。それに誰にでも分け隔てなく優しい。そんな彼の懐の深さがわたしも好きだ。もちろん友達として。
「誤解させてすまない」
片手に持ったバラを肩に乗せたまま、皆渡くんの態度に表情ひとつ変えず対応するルカさんも落ち着きがあってかっこいい……かもしれない。いくつ歳が離れているかは分からないけれど、大人だなあと思う。