わたしの顔を見てくすりと微笑んだルカさんは、なにも言わずにわたしの少し前を歩き始める。

 なんとなくその距離を崩さないようにわたしもルカさんの背についていった。まるで親のあとについて歩く子どもの様に。

 家に着いたらお母さんに紹介したほうがいいだろうか。

 でも知らないうちに娘が絡まれて、その絡んできた男達がその日のうちに殺されたなんて知ったら、余計な心配をかけてしまうかもしれない。

 それにルカさんが犯人だと疑われる可能性もある。下手をすれば警察に通報しかねないし、そうなると今度はルカさんに迷惑がかかる。それは避けたい。


 ……難しいな。どうすればいいんだろう。


 会話がないまま緑地公園を抜けて並木道を進む。だけど、どこか安心感がある背中を見つめていると、無言の時間も不思議と苦には感じなかった。