この辺りだと思ったんだけど……。


 暗い夜道を、銀髪が見えた場所へと急ぐ。中央の池より西側のどこかに彼はいるはずだ。

 また恐い集団に出くわしたらと思うと足が竦みそうになるけど、昨日の事件とは池を挟んで真反対の位置なので、不安は少し和らいでいる。
 
 警戒の意図も含めて何度か立ち止まってみたけれど、近くに人の気配は感じられなかった。
 もしかして、どこかで入れ違ったのかも。

 そう思い至って踵を返した瞬間――。


「きゃっ!」


 目の前に人影が現れて、わたしは固い地面の上に派手なしりもちをついた。