「なんとなく、かな。今、女の子が誰かを想うときの横顔してたよ」

「い、いや、そんなんじゃないです!」


 両手を大きく振って、急いで頭の中に浮かべていた銀髪さんの顔をかき消した。代わりに出てきた浅桜くんの顔も、ついでにかき消しておく。


「別にいいじゃん、隠さなくたって」

「あの、だってまだ誰とも付き合ったことないし、恋とか愛とか、自分ではよくわかんなくて……」

「なにかいい出会いでもあった?」


 いい出会いなのか不吉な出会いなのかはまだわからない。九十九パーセントありえないとは思うけれど、一パーセントは殺人犯だ。確かにとてもきれいな容姿に一瞬見とれたのは事実だけれど。


「昨日、ちょっと助けてもらって、それでお礼をしたいんですけど、もう会えるかわかんなくて……その……」


 もごもごと説明するわたしに、結花さんがくすっと笑う。


「緋莉ちゃん、それ多分もう落ちてるよ」

「えっと、落ちてるって?」

「また会いたいと思ってるんでしょ? それがもうその人を想う証拠だって」

「そう……なんですか?」

「もしそれが恋じゃなかったとしても、その人が緋莉ちゃんにとって大切な存在なのは、きっと間違いないと思うな」


 ――大切な存在、か。