マンションの駐車場に行くと、買ったばかりという淡いピンク色の軽自動車に乗りこんだ。丸目のヘッドライトが可愛くて結花さんらしいデザインだなと思う。
免許を取り立てといっても結花さんの運転は丁寧だ。スムーズに走る車の助手席に揺られながら、窓の外へと視線を向ける。
わたしよりも少し年上に見えた銀髪さんも、車の運転とかするのかな。
だとしたら、どんな車に乗ってるんだろう?
助手席には、どんな人を乗せるんだろう?
何も知らないからこそ想像が無限に広がっていく。
それがどこか心地よい。
「緋莉ちゃん、もしかして恋煩い?」
「ふぇっ?」
唐突な問いかけに、思わず変な声が出てしまった。
「す、すみません。でも、どうしてそう思うんですか?」
指示器を出してハンドルを右に切る結花さんは、いつもより少し大人びて見える。