好きな人にメッセージを送ると、返信が来るまでの間落ち着かなくて大変だ。ましてや既読が付いたりすると、スルーされはしないかともう気が気ではない。

 気にしないようにスマホをポケットに仕舞い違う雑誌を手に取ると、表紙を開く前に瑞花が口を開いた。


「そういえば緋莉さぁ」

「んー?」

「その助けてくれた銀髪さんのこと、気になってたりするの? ほら、その、異性として……とか」


 ――は?


 いきなり何を言われるかと思えば、名前も知らないしまともに話したこともないのにそんなことあるわけがない。

 銀髪さんともう一度会いたいとは思う。

 だけど、それはあくまでお礼のためだ。それ以外の理由なんて、全然なんにもない。