数ページめくったところで『トークの裏側、彼の本音!』と書かれた字が目に留まる。


「はぁ……」


 しまった。


「どうしたの? 緋莉」


 思わず声に出てた。


「あの、えーと……。浅桜くんに悪いことちゃったなあって……」

「浅桜くんはそんなこと気にしないよ。それより次の約束はしたの?」

「ううん、まだ」

「だったら今メッセージ送っときなよ」

「なんて送ればいい?」


 人に訊くことじゃないけど、事件のショックとドタキャンしてしまった後ろめたさが、わたしから思考力を奪う。


「今日はごめんね。次いつ会えるのー? とかでよくない?」


 (かる)っ! 心配かけたのにそんなゆるい感じで大丈夫なの?
 かと言ってかしこまったメールも、それはそれで距離を感じるけど。

 あぁ、だめだ。気持ちが全然まとまらない。
 それに今朝身支度を整えて家を出るだけでさえかなりの勇気が必要だった。        
 またあんな想いをしなきゃならないなんて、次こそ心臓が破裂するんじゃないだろうか。