瑞花との無言の空間は苦にならない。
子どもの頃から一緒にいるからか互いに気を遣うこともなく、こうして思い思いの時間を過ごすことができる。
これはわたしにとっても、きっと瑞花にとっても居心地がいい。
整った顔立ちのモデルさん達を見ながら昨夜の事件……というか、銀髪さんについて考察を重ねていく。
そういえば、彼はいつからあの場所にいたんだろう?
いくら夜とはいえ公園内の見晴らしはいい。外灯もあるし月も出ていた。そんな中であんなに鮮やかで目立つ銀髪の人がいて、気づかないわけがない。
それでも声を掛けられるまで、誰も彼の存在には気づいていなかった。
まるで煙のように突然現れてわたしを助けてくれた彼は、一体何者なんだろう。
それにわたしは庇ってもらった直後に気を失ってしまい、気がつくとマンションのエントランスに立っていた。瑞花の言う通り、彼が送ってくれたのを忘れてしまっただけなのだろうか? でもそれもどこか腑に落ちない。
いずれにせよ、危険に身をおいてまで見ず知らずの相手を助けてくれる優しい人が、殺人を犯すとは思えない。
だからあの人とはもう一度会って、改めてちゃんとお礼がしたい。
頭の中でそうまとめると、雑誌に意識を戻した。