――話し終えると、部屋の中はしんと静まりかえっていた。
物騒な話をしながら食べるシフォンケーキは、いつもよりなぜか甘く感じる。
「そっか。それで緋莉は銀髪さんが犯人の可能性もあるって思ったんだね」
「うん、でも相手からはすごい殴られてたし、もしその仕返しだったとしたら、やっぱりわたしにも責任あるよ……」
「緋莉が気に病むことないよ。助けてくれたことは感謝しなきゃいけないけど、仮にその人が犯人だったとしても緋莉には関係ない。だって無関係な女の子まで殺したとしたら、緋莉を助けるためっていう動機が成立しないじゃない」
「それは、そうなんだけど……」
「だからきっと銀髪さんが緋莉を家に送ってから事件が起きたんだよ。わたしは殺人事件とその件は全く別物だと思うけどな」
「じゃあ、犯人は誰なんだろう?」
「それを調べるのは警察の仕事でしょ? 緋莉が心配することじゃないって」
瑞花はそう言いながらへらっと笑うと、フォークを手にしてシフォンケーキを切り始めた。