目を覚ますと窓の向こうにオレンジの夕空が広がっていた。二階にあるわたしの部屋からは夕陽がよく見える。
……え? でもわたし、どれくらい眠ってたんだろう?
急いでベッドから起き上がると、しわくちゃになった服を脱いで、黒のハイウエストのパンツとオフホワイトのニットに着替えた。クローゼットから取り出したコートを羽織り、財布をカバンに乱暴に突っ込む。
一階に下りて玄関でムートンブーツを履き外に出ると、瑞花に『遅くなってごめん。今からいくね』とメッセージを打った。
不安を置き去りにするように、わたしは瑞花の家目指して駆け出していた。