なんで? どうしてこうなったの? 少し前までは遠い所にいると思っていた優陽が、今わたしの部屋にいる。男子なんて一度も入れたことのない、わたしの部屋に。
「女子ってやっぱり淡い色のインテリアが好きなんだな」
「あ、うん、そうかも。瑞花の部屋もこんな感じだよ」
優陽も少し緊張しているのか、その目が不自然に泳いでいるように見える。この部屋、なにか変な物置いてなかったよね。
こういうのはもっと先だと思っていたのに、お母さんの一言でまさかこんなことになるとは。まだ付き合って二日しか経ってないのに。
「そうだ、中学の卒アル見せてよ」
基本だ。付き合いたて高校生カップルの基本思考だ。こんなやりとりだけでうれしい。でも恥ずかしいから、できればまだ見せたくはない。
「えっと、今はどこにしまったかわかんないや。また今度ね」
なんだか頭がふわふわしている。なんとか顔に笑顔を貼り付けてはみたが、口の端が震えたかもしれない。そう思って咄嗟に顔を隠す。