「まあ冗談はさておき、今言ったことまんざら的外れってわけでもなさそうだろ?」
資料から推測すると確かに的外れではなさそうだ。でもほんとうにそうだろうか? ルカさんがわたしの血を、いや、処女の血を狙っているとかいまいちピンと来ない。
「それで、ルカさんが吸血鬼だとして、これからどうするの?」
「警察に介入されないためにはルカと直接話をするしかないかな。若い女性は沢山いるわけだし、これだけじゃ緋莉に固執する理由としてはまだまだ薄い。今ある情報から防衛策を講じて、直接探るしかないだろうね」
「話すって、大丈夫かなあ?」
「朧げながら正体も弱点もわかってるんだし、昨夜ほどの危険はないと思う。それにルカは緋莉を苦しみから解放するとも言ったし、考えてみれば蓮崎のことも殺さなかった。おそらく緋莉に危害を加えることはしないだろう」
「でも居場所がわからないね。どうやってルカさんを見つけようか?」
そう尋ねると、優陽が人差し指を立てて得意げな顔で言った。
「夜の闇、バラ、ひと気の無い場所、この三つが揃っていて、よくルカが現れた場所。今夜そこで張り込もう」
わたしもすぐにピンとくる。
話がまとまったところで資料を片付けると、わたし達は学校をあとにした。