「俺と付き合ってください」
誠実で澄んだ浅桜くんの瞳。そこには、幸せそうで泣きそうなわたしが写し出されていた。
たった今浅桜くんの瞳にわたしが住んでいることがうれしくて、うれしいはずなのに涙が溢れてくる。
「……よろしく、お願いします」
泣きながらなんとか言葉を紡いだ。
夢にまで見た、夢のような時間。ふいに今お母さんが出てきたらどうしよう? なんて現実的な考えが頭をよぎった。
けれど、わたしは浅桜くんに引き寄せられるように顔を上げる。そのまま互いに腕を絡ませて、浅桜くんの顔が近づいてくると、唇がそっと触れ合った。
ほんの一、二秒だったと思う。
けれど、それは永遠のように感じる、長く幸せな瞬間だった。