それからわたしは、クリスマスイブに起きた事件やルカさんとの出会い、蓮崎くんからのメッセージ、それにこの冬から始まったわたしの体の変化まで包み隠さず浅桜くんに打ち明けた。言葉を重ねるうちに穏やかな日常が遥か遠くに感じられて、また涙で視界が滲んでいた。
けれど、全部隠したまま浅桜くんと一緒にいるのは、もっとつらかったに違いない。
話し終えて少しだけ顔を上げる。
浅桜くんがどう思い、なにを感じながら聞いていたのかはわからないけれど、浅桜くんはいつもの朗らかな笑顔を見せてくれた。
「話してくれて、ありがとう……」
「ごめんね、ずっと黙ってて」
「謝ることじゃない。立華に悪意があって隠してたわけじゃないだろ?」
「それは……そうだけど」
何度も罪悪感が芽生えた。
浅桜くんが好きなのに、ルカさんのことが気になって、わたしはなんて気が多い女なんだと自己嫌悪したこともある。
だけど確信した。きっと今なら自信を持って言える。
わたしが好きなのは浅桜くんだけだ。
「悩みなんて無理に話すことじゃないよ。体のことはずっと不安だったよな。だけどさ、ルカの瞳だって紅いんだし、案外世界では珍しいことじゃないのかもしれないな」
浅桜くんは、この場に似合わないくらい爽やかな笑顔を見せてくれた。くしゃっとなった顔に思わず胸がきゅんとして、やっぱり話しておいて良かったなと、ほっと胸を撫で撫で下ろす。それと同時に、その顔がかわいくてたまらなかった。