視線を窓の外に向けると、部活に汗を流している生徒達の姿が見える。活気ある声が校庭に響き渡っていた。


「ひとりで帰れそう?」

「うん、大丈夫。ありがとう、先生」


 そう言われて体を起こすと、古いパイプベッドがぎしりと悲鳴をあげた。そしてベッドから立ち上がると同時に、目の前が暗くなり始める。

 また立ち眩みだ。ちゃんと食べて寝てるのに最近よく立ち眩みを起こす。数秒その場に立ち尽くすと次第に視界が鮮やかになっていき、なんとか歩くことができた。


「それじゃ、失礼します」

「うん、担任の先生にはわたしから伝えておくから、今日はそのまま帰っていいよ。あ、浅桜くんにはお礼言っときなよー。立華さんをここまで運んでくれたの彼だから」

「はい、お世話になりました」


 やっぱりわたしをここまで連れてきてくれたのは浅桜くんだったのか。さっきの様子だと菊川先生は朝の件に関しては知らないみたいだったけど、浅桜くんがうまく隠しておいてくれたのかもしれない。上級生達としても先生に目を付けられたくないだろうし、問題にされるとわたしも困る。