――まどろみの中で、遠くからなにか聞こえてくる。

 男の人が助けを呼ぶ声だ。ついさっきまで威勢が良かったのに今は悲鳴なんかあげて、ほんとうに救えない。

 それにしても、女の子がクリスマスイブにこんなところに来るなんて、一体なに考えてるの? 悪いけど暴れないでね。この霧に巻かれたら、もう逃げることなんてできないの。

 怯えた瞳。心地よく響く悲鳴。そして身体中を駆け巡る新鮮な血の香り。

 その血が尽きて枯れ果てるまで、一緒に踊ってあげるから。

 さあ、口を大きく開けて……。