「立華っ!」


 突然頭に響いたのは、わたしを呼ぶ男の人の声。


「大丈夫か? 立華」


 この声は……。


「ル……カ……さん?」


 ルカさん、また、助けに来てくれたの?


「俺だ。浅桜だよ」

「あ……さ、くら……くん?」


 頭の奥で声が反響している。途端に視界がぐにゃりと歪んだ。


「おい、これ保健室行ったほうがよくないか?」


 辺りが騒がしい。けれど、瞼が重い。目を開けていられない。

 さっきわたしに言いがかりをつけてきた本城先輩達と、浅桜くんが言い争う声が微かに聞こえる。

 わたしを守ってくれたんだろうか? だとしたら、今気を失うわけにはいかない。わたしがちゃんと話をしなくちゃ……。わたしが……。