ひどい。せっかく今日のために結花さんが手伝ってくれたのに。
わたしは人なんて殺していない。それなのに突然言いがかりをつけられた上に、こんなことまでされるなんて……。
「……許さない」
気づけば声に漏れていた。
「許さなければどうするの? わたしらのことも、蜂谷さんみたいに殺すつもり?」
へこんだ保冷バッグを見て、乾いた喉の奥が熱くなっていくのを感じる。わたしを押さえつけている三人の手を振り払って本城先輩を睨みつけると、上級生達が「ひっ!」とうわずった声をあげた。
「なに……? その瞳の色。あ、紅い……ば、ばけもの」
その言葉で一瞬頭が冷えた。周りを見渡すと、取り囲んでいた上級生達がまるで猛獣を見るような怯えた目でわたしのことを見ている。
だけど、抑えられない……。
――それに、
蹂躙されることに怯えたその目がたまらない。
見ているだけで恍惚感が押し寄せてくるその瞳が、わたしにとって最高の食前酒。そして悲鳴は前菜。
メインはもちろん――。