不思議に思って首を傾げると、わたしの頬にお母さんの白い手が触れた。顔を上げると、お母さんはどこか哀しそうな優しい笑顔でわたしを見つめている。
「完成したら、一緒にお祝いしようね」
直感が全身を突き抜けた。お母さんはわたしになにか隠しごとをしている。それはもしかして、この体調不良と関係があるのではないだろうか。だけどお母さんの顔を見ると今それを聞いてはいけない気がして、声を出さずに頷いた。
「朝食はカウンターに置いてあるから、温めなおして食べてね」
お母さんを見送ってカウンターに目をやると、そこには野菜がたくさん入ったトマトスープと、赤身のカツサンドが置かれていた。
外を見ると、細い雨が静かに窓を濡らし始めていた。