それから射撃やローラースケート、さらにはテニスやアーチェリーをやってみたけれど、そのどれをも浅桜くんは軽々とこなし、皆渡くんに「優陽は遊びの達人だな」と不名誉なレッテルを貼りつけられていた。
アトラクションを堪能してからアミューズメント施設を出ると、相変わらず暗い雲が空を覆っていた。けれど、雲間からは弱々しくも淡い日差しが降り注いでいる。
「あー久々だったな、こんなに遊んだの」
皆渡くんが伸びをしながら清々しい声をあげた。
「皆渡くんは、いつも部活で忙しいもんね」
と、瑞花は少し寂しそう。
「うちのサッカー部はブラックだからな。入部前はちゃんと週二日以上休みあるって言ってたのにさ。優陽はどうだ? バスケ部も忙しいか?」
「そうでもないかな。でも長期休みは店が忙しくなるんだ」
「バイト先が自分の店なんていいよなあ」
みんなの会話を聞きながら、浅桜くんのエプロン姿を想像する。
白いシャツの袖をまくって、黒いベストを着て、片手に銀のトレーを持っていて……。あぁ、やっぱり一度、浅桜くんのお店行ってみたいな。