しかし、今教えてもらったからこそ得点の配当に疑問を覚えた。


「さっき浅桜くんが当てたブルは五十点だったよね? それなら真ん中よりも、二十点の三倍を狙ったほうがいいってことじゃないの?」


 浅桜くんの得点は百五十点だった。しかし、二十点の三倍を三回狙えれば、得点は百八十点になる。あれだけ正確にブルを狙えたのなら、それを狙うのも不可能ではないはずだ。


「……やっぱり呑み込みが早いな、立華」


 頭の後ろをぽりぽりと掻く浅桜くんの顔が少し赤い。これはもしかして。


「じゃあさっきのは、真ん中に当てたほうがかっこいいとか思って狙ってたりして……」


 浅桜くんにいたずらな言葉の矢を投げてみると、


「ほらあと二本あるから、早く投げろよ!」


 焦ったように顔を背けた。その姿がかわいくて、胸がじわっと温かくなる。

 隣では瑞花がくすくすと笑っている。皆渡くんもにかっと笑顔を見せていた。それを見るとなんとなく四人の心の距離が縮まったような気がして、うれしかった。