改めてスローラインに立ち、深呼吸して矢を構える。

 腕を前後に数回動かしてから紙飛行機を飛ばすようにぱっと手を離すと、弧を描くように飛び立った矢がかろうじてボードの下部へ刺さった。同時に機械が軽快な電子音を響かせて、モニターに三十八という数字が表示される。


「あれ? 十九ってとこに当たったのに、どうして?」


 わたしの放った矢は、確かに十九と書かれたエリアに刺さっている。けれど、表示された得点は倍の三十八だ。


「よく見ると外の小さい枠の中に刺さってるだろ? あそこは書かれた数字の倍得点が入るんだ。もうひとつ内側の枠なら三倍だった」


 そうなんだ。てっきり真ん中のブルから随分離れた場所だから、得点も低いと思っていた。

 遊びながらルールがわかってくると楽しい。初めに教えられていてもきっと覚えきれないし、ルールで頭がいっぱいになると狙い過ぎて純粋に楽しめなかったかもしれない。