「わたしも、自分に自信を持てるようになりたいな……」
ぽつりと漏れた言葉。今まではクラスで浮かないように目立たないようにと意識してきた。だけど、それでよかったのかな? 悪目立ちしたくはないけれど、もっとお洒落を楽しむことだってほんとは大事なことだったのかもしれない。
「緋莉は顔立ちがハーフっぽくてきれいなのに、逆にそれがコンプレックスだなんてもったいないよ。ルカさんなんて超かっこいいじゃん」
そう、わたしはそのせいで自信がなかった。男の子達から揶揄うように『外人』とか『日本の学校に来るな』とか言われて悲しかった記憶は、そう簡単には消えてくれない。ほんとはかわいい服が着たくても、自分の顔には似合わないんじゃないかと躊躇ってしまう。
でも、ハーフであるルカさんと出会ってから、わたしの心には少なからず変化が起きている。最近ではありのままの自分を少しずつ受け入れることができている気がしていた。
「本城先輩は二年なんだし仕上がってて当然だよ。わたし達はその分若いんだから、まだまだこれからだって」
おどけるように言う瑞花を見て、わたしにも笑みがこぼれる。
そうだ。さっきはいきなり本城先輩みたいなかわいい子を見て、ちょっと驚いただけだ。それで悔しいと思えるのなら、わたし自身が変わればいい。
「そうだね。わたし、もっと頑張る。浅桜くんと一緒に居て自分が恥ずかしいと思うなんて、浅桜くんにも悪いもん」
「そうそう、その意気だよ」
瑞花のおかげで胸のつかえがちょっとだけ取れた。これなら大丈夫そう。
「じゃあそろそろ行こ。ジュース買って戻ろうよ」
「うん、ありがとう瑞花」
少し体が軽くなったわたしは、瑞花と自販機で四人分の飲み物を買って、ダーツコーナーへ足を向けた。