わたし達より奥の瑞花と皆渡くんは、浅桜くんを呼ぶ声に気づいていない。振り返ってダーツコーナーの入り口に目を向ける。

 ウェーブがかった綺麗な髪に、ぱちっとしたアイメイク。すらりとした長い手足。自身に満ち溢れた表情。その大きな瞳がわたしを捉えていた。


「もしかして優陽、デートしてんの?」

「からかわないでくださいよ。奥のふたりも一緒です」


 その言葉が鋭く胸に刺さる。ダブルデートだと浮かれていた自分がばかみたい。


「あ、あの、わたし、ちょっとジュース買ってくるね!」


 これ以上ここに居たくない。落ちた矢を拾うと浅桜くんの顔も見ずにそう伝えて、たまらずにその場から駆け出した。

 これはデートじゃなかったんだ。

 でも……そうだよね。ただ友達四人で遊んでるだけだもの。勝手にデートだと思い込んでいた自分が悪い。勘違いなのに傷つくなんて、お門違いもいいとこだ。