ダーツコーナーを探している間も、さっきのことはなかったかのように浅桜くんは自然に振る舞ってくれている。そのさりげない優しさがうれしい。


「あったあった。ここだ」


 ちらちらと浅桜くんを追っていた視線が、皆渡くんの声に反応して前を向いた。

 初めて見るダーツボードは思っていたよりも大きくて、なんというかデジタル感が強く、わたしの想像していたダーツボードとは全然違うものだった。ただ単に壁にボードがぶら下がっていると思っていたのに、これは完全に機械だ。そういえばさっき浅桜くんが『機種』って言ってたっけ。

 わたし達四人はまた二台のダーツボードに別れると、瑞花と皆渡くんはすぐさまゲームを始めようとしていた。


「皆渡くん、カウントアップで五百点が取れたら初心者脱出だよ。頑張ろうね!」

「任せとけって。今日こそクリアしてやるからな!」


 カウントアップがなにかはわからないけれど、もしかして瑞花はダーツもそこそこ上手なのだろうか。ということは、瑞花と似たようなスペックのわたしでも、すぐにコツを掴めるかもしれない。

 ちょっぴり強気な瑞花につられて、わたしにも妙な自信が湧いてくる。


「俺達もカウントアップから始めようか」

「うん。よくわかんないけど、それって難しい?」

「ルールは簡単さ。だけど、宵月が言う五百点はちょっとした壁だよ。なにせ三回に一回はど真ん中のブルを打たなくちゃいけないから、それなりにグルーピング力が必要になるんだ。初心者には難しいだろうな」


 ブル? グルーピング力? なんのことだかさっぱりわからない。けれど、なんとなく練習はしなくちゃいけないんだなということは伝わってきた。